【劇】 Re:verse (アヴァンセ)
坂上忍が作・演出。
主演は水崎綾女。三匹のおっさんで、偽スカウトマンにゆすられる女子高生役だった子。今回は二児の母をやっている。
そのほか、嘉門洋子、小野真弓、渋谷哲平といった、懐かしい(失礼)お名前もあったが、照明が暗めで、席も遠かったこともあり、誰が誰だかわからない。唯一、オイラの中で存在感をだしてくれたのが、お宮の松。 2月に観た「エリカな人々 (東京マハロ)」でも、パッと見、豪放、実は小ずるい感じのキャプテンでしたが、この芝居でも似たような役回り。
2012年3月11日、あの大震災からちょうど1年たった朝。茨城沖を震源とする直下型地震が発生。津波は数万の人々を呑みこんだ。
それから4か月後、まだ、心の傷も癒えない頃。フリーディレクターの主人公(水崎)は、大切な人を亡くした人々にインタビューを行うドキュメンタリーを企画した。
カメラが回る前で、あの日、あの時、何が起こったかを告白する人々。でも、それはきれいごとにしか過ぎなかった。彼女の発する質問で、嫁姑の確執、育児ノイレーゼ、連れ子との不仲、実父の介護疲れ、職場恋愛、等、心の底にしまっておいたものが抉り出される。
「あの子を、あの人を、自分は見殺しにしたんじゃないか・・・・」 誰もが心の底に思い、しかし、封印してきたこと。
消防団の男は、水門を閉めて、避難所の整理に向かう途中で、同僚が泣いて怖がる子供たちをなだめて避難させる光景を目にしながらアクセルを踏んだことを、自らカメラの前で告白・・・。
それにしても、なぜ、ディレクターの彼女はそんな企画を始めたのか? 彼女自身の「あの日」は? そして、時計の針は決して巻き戻せないのか。。。。
架空の「茨城沖大地震」に名を借りながら、実は東日本大震災そのものを描く。初演は2012年とのこと。
カメラの画像を壁面に映し出したり、それぞれの証言が一斉に起こったり・・・。観るのも疲れるお芝居。
初日とあって、業界つながりの観覧者(=芝居そのものには興味がない)が多かったのか、はたまた、小劇場に比べて舞台との一体感が弱いのか、開園直後に携帯が鳴り、終演間際のいいシーンでバイブが鳴動し、そして、四六時中、ガサゴソと雨でも取り出すかの雑音が続いた、ガッカリ。
# 主人公が「○○さんは、お亡くなりになられたのですね。」という言い方を多用していたのが耳障り。「お亡くなりになったのですね。」か「亡くなられたのですね。」のどちらかで十分ではないか? 二つ重ねることで、かえって慇懃無礼な感じがするのは私だけだろうか? マスメディアの人間の「慇懃無礼」「巧言令色」をあえて、あの不自然な敬語で表しているとすれば、坂上忍、すごいや。
観劇日:2014年4月2日ソワレ
小屋: 下北沢・本多劇場
木戸銭:6000円
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