【劇】 巣鴨四丁目落語会 (立川志の輔)
先月に引き続き、StudioFOURの落語会。今回は平日でしたが、うまい具合に勤め先の創立記念日に当たり、昼の部で観劇。もちろん、昼の部でも満員御礼。
高座の後ろに掛けられている盛清千恵子さんの鉄の飾り、先月は「月に兎」、今月は「二輪の菊」、素敵です。
前座、志の太郎さん。「常連さんから『痩せたね。』と言われたけど、前座には『やつれたね。』と言って欲しい。」
時そば。スッキリとまとめてました。(今回は、志の輔さんの公開ダメ出しはなくて、逆に「来年には二つ目になるんでしょうが。」なんて、言ってもらってました。)
で、志の太郎さん、下がった後、座布団を下手にずらし、上手に譜面台(これまた鉄製)を置く。
前々回、牡丹燈籠をやったときの「第一部 背景説明」と同じ構図。(あのときは、前座なしでしたが。)
出囃子とともに、パネルと拍子木?を抱えて現れた志の輔さん。「この寒いのに浴衣を着て、何かと思うでしょうが・・・。これから、40~50分、仮名手本忠臣蔵の説明をします。」
浴衣は歌舞伎役者さんの楽屋着、楽屋入りすると・・・ってところから、「仮名手本忠臣蔵」を説明。
赤穂事件と忠臣蔵は実は別物。赤穂事件で史実は「松の廊下の刃傷と内匠頭切腹」「吉良邸討ち入り」「内蔵助切腹」の3つだけ。あとのお話は全て、後の世の創作。
作者は得意ジャンルの違う3人。だから、いろんな要素が含まれている。武家もの、恋愛もの、家族もの。今でいえば、東野圭吾、三谷幸喜、橋田壽賀子が合作したようなもの。
もともと浄瑠璃のために書かれたもの。そのため、歌舞伎でも幕が開くと役者さんが人形のように止まっていて、義太夫が流れると、それを合図に一人一人動き出す。
などなど。芝居好きだったのに知らないことばかり。
浮世絵のパネルを使いながら、大序から一段ずつあらすじの解説。ところどころ、芝居口調の台詞がはいるかと思えば、お決まりの「ウェー」も出てきたり。
特に五段目は念入りに。四段目の「内匠頭切腹」と六段目の「勘平切腹」の間に挟まって、地味なお話。さらに、斧定九郎はもっと地味・・・。
十段目では「天野屋利平は男でござる」もチラっとやってくれました。
A3のパネルが小さくて「後ろの人ごめんなさいねぇ。」と何度も言いながらの解説。最前列ど真ん中だったので、若干光の加減はあったもののよく見えましたわ。これ、赤坂では投影するのかしら。結局たっぷり1時間の解説でした。
10分間の中入り後、「中村仲蔵」。
江戸落語の世界は上下関係が厳しくて。それは、楽屋が狭くて、火鉢にちかいところから順に座るからか。上方にはそれがないのは、大きな部屋だから・・・。
落語の隣の世界に、歌舞伎があって・・・、とはいっても、あちらは隣とは思ってないでしょうが・・・。
稲荷町→中通り→相中→名題と上がっていく、歌舞伎の世界はもともと「the 血筋」
ってな、この後の話の理解を助ける小ネタを枕代わりに。
途中、仲蔵が舞台の上で機転を利かせて、それが團十郎の目に留まり・・・、ってな話をしている辺りから、テントウムシが志の輔さんの周りをブンブンと飛んでる。紋付きの袖に止まったかと思うと、あろうことか志の輔さんのほっぺたまで這い上がっていった。
志の輔さん、慌てず騒がず、せりふを言い終わると、さりげなくほっぺたを掻く。と、飛び立ったテントウムシを目の端でとらえたか、おもむろに膝立ちになって、頭上で両手をパチンパチンパチン。見事、仕留めました。後ろの人は気づかなかったに違いない。「とったよね? とったよね?」 しっかり、退治してましたよ。
さすがの機転です。仲蔵に勝るとも劣らない、ってか、もし、大きな劇場でも同じことやったのだろうか、それとも、巣鴨四丁目だからこそ、できたのであろうか。
この後は、落語、歌舞伎、ガッテン、世間話。仮名手本忠臣蔵五段目、仲蔵渾身の定九郎では、袖に控えていた鉄九郎さんの三味線もはいる・・・、盛りだくさん、気がつけば1時間10分の大熱演。
しくじった、と思い、上方に逃げようとした仲蔵が、團十郎に呼ばれた場面、それこそ、70人の客席がみんな息をのんで、「シーン」。一瞬、全ての音が聞こえなくなりました。
終演後、高座から「今何時ですか?」と尋ねられたので「5時10分です。」と答えた。「ああ、大体、良い時間に納まったな。」だそうです。「これであと1席あるんですよねぇ・・・(フウッ)」とは、本音でしょう。
次の予定もあったので、今回は楽屋にはお邪魔せず、アンケートをたっぷり書いてきました。
観劇日:2014年10月23日
小屋 : 巣鴨・Studio FOUR
木戸銭:4000円
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