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2014.11.11

【劇】 巨人伝説 (俳優座)

10

11月11日。鮭の日、もやしの日、ポッキーの日、立ち飲みの日、そして光棍節(中国の独身者の日)。
そんなこととは関係なく行ってきたのが、久しぶりの俳優座劇場。「わたスキ」ファンなら、傘をさして、ここの前で矢野君を待つ優ちゃんの姿を覚えているはず。

開演10分前ほどに入ったので、まっすぐ席に向かったが、時間があれば、ロビーに隣接(併設?)しているパブでバスペールエールの一杯もひっかけたいところ。

さて、安部公房である。きっと難解であるに違いない。

終戦から15年経ったとある東北の村が舞台。
さびれた簡易食堂を営む女主人の元に大貫という元巡査の男が姿を現す。
二人は戦時中、闇商売と役得とで持ちつ持たれつの関係だった。
女の息子が戦死したら一緒になる手筈だった。
息子が戦死して帰って来なければ万事上手くいく。
生きていくためとは言え、母親としてあってはならない考えに怯える女。
そんな女を、大貫は奇妙な「ダイダラ法師のまじない」を使い誘導する。
そのように約束を交わした二人であったが、当時起きたある事件によって事態は一転する。大貫は村を追われる身となり、計画は打ち砕かれる事となる。
時が過ぎ、再び女の前に現れた大貫は言う。
「昔のつづき、はずめるべぇと思うでよ」―――
」(俳優座WEBサイトより)

54年ぶりの再演だそうな。とすると、初演はオイラが生まれた年。そうか、まだ終戦から15年しか経ってないときに生まれたんだなおいら、ってか、当時はリアルタイムの芝居だったんだ。

あらすじで詳しく語られていない「ある事件」とは、出征していた大貫の息子が耐寒訓練に耐えかねて逃げ返ってきた事件。脱走兵は死刑になる重罪。「皆に(自分に)迷惑がかかるから自首しろ」と諭すが、結果的に息子は鉄道自殺(大貫が突き落としたともとれる)。
一方、女の息子・ケイイチは、玉砕が報じられた南方から奇跡的に帰還したが、失明し、左足も不自由になっている。
そんなところに大貫が帰って、ケイイチは再び邪魔になる・・・。

いやぁ、怖い話ですよ。おいらが生まれたころは、まだ、そんな時代なんですな。子供の頃、街には「傷痍軍人」さんがいたよな。

女は、母であり、同時にオンナでもある。どっちも欲しいが「二者択一」を迫られる。でも、決められない。
大貫とケイイチが二人、「話を付けよう」と外に出る。盲目のケイイチの方が闇夜では有利。
女はケイイチ一人が帰ってくると確信したのだが、案に相違して、大貫が姿を現す。泣き叫び、大貫を拒絶する女。なら、最初からケイイチを選べばいいのに・・・。

この男女・母子の三角関係を軸に、村人たちの「戦中→戦後の変貌ぶり」も描いている。変わってないのは猟師のゲンさんくらいか。

劇団のWEBサイトにはこうも書かれていた。「戦中、戦後の日本を圧倒的俯瞰で直視し、民衆が持つ「無責任の倫理」を訴えるべく書き下ろした作品を、俳優座が54年振りに上演します。
新憲法に謳われた民主主義。形だけが入り込み、消化不良のまま・・・。54年前がそうだったのは判るが、「あれから日本人はどれくらい変わることができたのでしょうか。(同)」と改めて考えさせられた。
タイムリーな作品。

15分の休憩をはさんで2時間45分のお芝居。俳優座、観客のマナーがいいですわ。
神戸演鑑で招いたら、時間も内容もピッタリの演目だなと思ったら、来年9月は俳優座の「春、忍び難きを」を上演するそうな。これも、似たような時代背景の芝居みたい。

村長の選挙運動のシーン、客席入口から候補者が入ってきた。通路際にいたオイラに手を差し出すので、思わず握り返しました。後で選挙ビラも拾ってきた(笑)


観劇日:2014年11月11日
小屋:六本木・俳優座劇場
木戸銭:5400円

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